Column 28
2018/12/15 18:00
妊娠中に、高血圧、タンパク尿、浮腫(むくみ)を発症するものを妊娠中毒症と呼びます。いいえ、妊娠中毒症と呼んでいました。2005年に妊娠高血圧症候群、2018年からは蛋白尿を認めなくても肝機能障害、腎機能障害、神経障害、血液凝固障害や赤ちゃんの発育が不良になれば、妊娠高血圧腎症に分類されるようになりました。1)
一般的に中毒とは、一酸化炭素中毒、フグ中毒、鉛中毒、水銀中毒などのように、ある「毒物」の作用によって生体が機能障害を起こすことをいいます。他にも、アルコール中毒や睡眠薬中毒などのように、ある「物質」の「濫用」によって本来は無害なものが有害な作用を起こす場合もあります。ゲーム中毒、スマホ中毒、筋トレ中毒、などなど。これらはある「行為」の「濫用」ですね。
妊娠中毒症はその病態が少しずつ明らかにされてきたために、「中毒症」という「原因になる毒」が存在するわけではないということから、「妊娠高血圧症候群」、「妊娠高血圧腎症」と改名されてきたのです。病態は現在のところ完全には解明されていませんが、子宮動脈が何らかの要因によって収縮し、それにより高血圧が生じて、一連の症状・所見を呈してくるといわれています。1)
この病気の予知や予防法は、未だ確立されたものはありません。かかりつけの産婦人科で適切な管理を受けることが最も大切なことです。また、昔、妊娠中毒症にかかったことがある女性は、更年期以降に高血圧症になりやすいことが分かっていますので、注意が必要です。
■引用・参考文献
1)http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=6、2018年12月15日アクセス
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