Column 271
2024/07/09 18:00
RSウイルスは日本を含め世界中に分布していますが、何度も感染と発病を繰り返す呼吸器の感染症です。生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルスに少なくとも一度は感染するとされています。
症状としては、発熱、鼻汁などの軽い風邪様の症状から重い肺炎まで様々です。RSウイルスは主に接触感染と飛沫感染で広がります。麻疹ウイルスや水痘ウイルスの感染様式である空気感染はしないと考えられています。
従来は、夏から増加傾向となり秋にピークがみられていました。一方、2021年以降は春から初夏にかけて継続した増加がみられ、夏にピークがみられるようになってきました。今後の発生動向について、さらなる注意が必要です。
典型的なRSウイルス感染症は、感染してから4~6日間の潜伏期間を経て、発熱、鼻汁などの症状が数日続きます。約7割は軽症で済みますが、重くなる場合には咳がひどくなる、喘鳴がでる、呼吸困難になるなどの症状が出現し、場合によっては細気管支炎、肺炎へと進行します。
重篤な合併症として注意すべきものには、無呼吸発作、急性脳症などがあります。生後1ヶ月未満の子どもがRSウイルスに感染した場合には、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、無呼吸発作による突然死を引き起こすことがあります。
RSウイルスは、生涯にわたって感染を繰り返し、幼児期においては再感染がよくみられ、その多くは軽い症状です。成人では通常は風邪様の症状のみですが、小児を看護する保護者や医療スタッフでは症状が重くなる場合があります。
また、慢性呼吸器新患を有する高齢者で急性の重症肺炎を起こす原因となることが知られていて、長期療養施設内での集団発生が問題になっています。
引用・参考文献
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html
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