Column 267
2024/06/11 18:00
ジン・ライムやジン・トニックといったジンを使ったカクテルは私たちも馴染みがありますね。ジンはジュニパー・ベリー(セイヨウネズの実)を使った独特の香りをもった蒸留酒ですが、その源流は中世に遡り、原型はフランドルの修道士たちが作っていたジェネバーという強壮薬だった様です。
それはモルトワインを蒸留したものにジュニパー・ベリーを加えた酒だったとのことで、13世紀には書物の中にその名前が登場するそうです。ジェネバーはジュニパー・ベリーを意味するオランダ語で、消化器官の働きを促進し、利尿、発汗、抗炎症等、抗菌作用があり、古くからヨーロッパでは万能薬として使われてきました。
その後、オランダでは薬として広く売られる様になりましたが、次第に酒=嗜好品として扱われる様になっていきました。16世紀~17世紀のオランダの独立戦争(80年戦争)の際、(中略)イギリスの兵たちに持ち帰られたジェネバーが(中略)人気になり(中略)イギリスでも製造される様になったといいます1)。
当初のジンは品質があまり良くなく雑味があったため甘味をつけて風味を整えていたようですが、その後の蒸留技術の発達に伴い「ロンドン・ドライ・ジン」と呼ばれる、よりクリア、ドライで洗練されたジンが作られるようになりました。
ロンドン・ドライ・ジンといえば、ビーフィーター・ドライ・ジンが有名です2)。赤い服を着たロンドン塔の衛兵がラベルになっているボトルを見かけた人は多いのではないでしょうか。ビーフィーター(Beefeater=Beef Eater)というのは、「肉を食べる人」という意味で、ロンドン塔の衛兵は王から与えられた貴重な肉を食べていたことから名前が付けられました。
150年前に一人の薬剤師ジェームス・バロウが現在のドライ・ジンの製造に成功し、ロンドンの象徴であるロンドン塔の衛兵ビーフィーターの名を冠しました。ロンドンでも肉は貴重だったのですね。
引用・参考文献
1)https://oldarrow.hateblo.jp/entry/2023/06/28/160815
2)https://ginlab-japan.com/4190/
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