ロシナンテス

　ロシナンテスは「ドン・キホーテ」の愛馬の名前ですが、スーダンでの医療支援を行なっているNPO法人の名前でもあります。

NPO法人ロシナンテスの代表は九州大学医学部出身の川原尚行君です。

川原尚行「君」といったのは、彼が学生時代に、当時九大産婦人科の医局長をしていた私が、九大産婦人科への入局攻勢を毎晩のようにかけて親しくなったからです。

　「産婦人科に入ります！」

と言った彼と祝杯を交わした翌朝のことです。
いつも下駄をはいて来る彼が、産婦人科の医局の前に靴をはいてかしこまっていました。

どうかしたのかな、と思っていると、「先生、すみません！やっぱり外科に入局します！」と謝りを言いに来たのでした。

　それでも、せっかく入局勧誘を通して知り合ったのだから、これからも応援しているよ、頑張れよ！と言って彼を送り出したことを昨日のように覚えています。

それからの彼は外科で臨床経験を積んだ後に、外務省、在スーダン日本大使館に勤務、2005年に外務省を辞職後、ロシナンテスを設立しスーダンでの医療支援を開始しています１）。

そのスーダンが現在、大変なことになっています。

正規軍と民兵組織の衝突が激化して内戦状態となり、停戦が守られていないため大部分の地域で停電と断水が続いています。現地の治安が極めて厳しい状況であるため、63人の邦人を救出するため自衛隊の派遣が検討されています。

各国は自国民救出計画を立てていますが、救出作戦は困難に直面しているようです。

スーダンの首都ハルツームからドイツ人を救出する作戦を立てていたドイツ軍は、戦闘や空爆で空港施設が破壊されたために作戦を中止しています２）。
また、トルコは現在避難させることはできないとしています。

　川原君たちが無事にスーダンを脱出することができることを祈っています。
12年前、私が福岡市天神で開業したときに、帰国していた彼が会いに来てくれました。また、彼がひょっこり顔を出す日が来るのを待ち望んでいます。

追記（2023年4月26日）

4月24日、川原君たち退避を希望する日本人全員がジブチに到着したとの一報があり、取材に応じた川原君の元気な姿が放映されました。
まずは一安心というところです。

引用
1）https://ja.wikipedia.org/wiki/川原尚行
2）https://www.asahi.com/articles/ASR4N1SS1R4MUHBI03Z.html

この記事を書いた人

野崎雅裕野崎ウイメンズクリニック院長: 福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。

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