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Column 20

2018/12/10 18:11

妊孕力カーブ

加齢とともに妊娠できる能力は低下します。この妊娠する生物学的能力を「妊孕力(にんようりょく)」といいます。22歳時の妊孕力を1.0とすると、30歳では0.6を切り、40歳では0.3前後となります。35歳以降の妊孕力低下に伴う出生数の減少は、体外受精などの生殖補助医療を用いてもカバーすることが出来ないと考えられています。1)

当院には、50歳で妊娠したいと受診される女性が来られます。妊孕力カーブでは50歳は限りなく0に近いのですが、いきなり「妊娠は無理です」とも言えないので妊孕力カーブも示しながら、女性ホルモンのエストロゲンや卵胞刺激ホルモンの値を示しながら説明をします。

「やはりそうですね」と納得する方、「それでも月経は来ているのに」と納得のいかない方、中にはかなり驚かれる方もおられます。50歳の方ならば、学校で保健体育の授業があったのは40年前くらいでしょうか。妊娠・出産に関する知識は一通り教わっても、妊孕力カーブについてはあまり習っていないようです。

女性の社会進出が推奨され、キャリアアップして管理職につく女性にも、「頑張れるところまで頑張ってから子どもが欲しい」と望む女性は多いと思います。しかし、どんなに医学・医療が発達しても、妊孕力カーブを緩やかにすることは出来ないのです。女性は卵巣からのエストロゲンの波に乗りながら、その波が低くなり、そして消えてしまわないうちに、“妊娠丸”という船を漕ぎ出さないとならないのです。

出典:「O’Conner et al, 1998」より筆者作成

■引用・参考文献
1)http://yoshimurayasunori.jp/blogs/卵子の老化―続報―-女性の年齢と妊孕力との関係/、2018年12月10日アクセス

この記事を書いた人

野崎 雅裕
野崎 雅裕野崎ウイメンズクリニック 院長
福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。
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