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Column 74

2021/05/15 18:00

PMSにピルを使わない方法

排卵から月経までの間に起こる様々な不調を月経前症候群(PMS)といいます。気分の落ち込み、イライラ、浮腫(むくみ)など、経験したことのある女性は多いと思います。排卵を起こさないようにして女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの波が来ないようにすればPMSの症状は治まるので、排卵抑制剤であるピルを使う治療がよく行われています。

PMSの治療を目的に受診した患者さんにピルを使用する提案をすると、中には「ピルはちょっと服用したくありません」、「症状のないときにも薬を服用するのはしたくありません」、「ピル以外の方法はありませんか」ということがよくあります。また、「ピルを試してみたいけれども、明日にも始まりそうなPMSの症状は何とかなりませんか」といった患者さんもおられます。

そこで、当院で行っている「PMSにピルを使わない方法」をご紹介します。まず、PMSの症状のうち「気分の落ち込み」「いらいら」などは、エストロゲン(卵胞ホルモン)の波が引き潮のように下がっていくことから起こりますから、月経の1週間前からPMSの症状が出るひとには、1週間前からエストロゲン剤を服用してもらいます。これはピルではありませんので、頓服薬のように3日間だけとか7日間だけ服用といった使い方が出来ます

また、PMSの症状のうち「浮腫(むくみ)」などは、排卵後のプロゲステロン(黄体ホルモン)の作用で起こりますから、月経の1週間前から「浮腫(むくみ)」の症状が出るひとには、1週間前からむくみに効く漢方薬などを服用してもらいます。同じく「イライラ」の症状にも効く漢方薬が何種類かありますから、その人に合った漢方薬を試してみます。

こうして、ピルを使わなくてもPMSの症状は緩和されますので、PMS→ピル→怖い→PMSは我慢する→といった悪循環に陥らなくてもいいのです。PMSの症状が辛い人は安心して当院を受診してください。

この記事を書いた人

野崎 雅裕
野崎 雅裕野崎ウイメンズクリニック 院長
福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。
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