WEB問診

WEB問診

ロゴ_sp

ヘルスケアコラム

2025/10/01

【東洋医学編#4】体質から整えるセルフケアのすすめ−冷え・むくみ・疲れやすさに−

東洋医学

「手足が冷たい」「夕方になると靴がきつい」「なんだかいつも疲れている」──このような不調に悩む女性はとても多いです。育児や仕事など忙しい毎日の中で「よくあること」と片づけがちですが、ちょっとしたセルフケアの積み重ねで改善できる可能性があります。

東洋医学は、症状の一時的な緩和ではなく、根本からの改善を目指す治療法です。近年では、ツボ刺激などのセルフケアに関する研究が進み、体質改善への作用も証明されつつあります1)。

不調の原因を探るキーワードは「気・血・水」

人の健康は「気(エネルギー)」「血(栄養と潤い)」「水(体液)」の3つが滞りなく巡ることで保たれる、というのが東洋医学の考え方です。

不足した状態の「気虚:ききょ」だと疲れやすく、滞った状態の「気滞:きたい」はイライラや気分の落ち込みを招きます。

停滞した状態の「瘀血:おけつ」は、冷え・肩こり・生理痛の悪化・肌のくすみにつながります。

滞った状態の「水滞:すいたい」は、むくみや体の重さや雨の日の体調不良を引き起こします。

気・血・水は相互に影響し合っているため、いずれかのバランスが崩れると、連動して他の不調が起きます。例えば、「気滞」はストレスによって引き起こされる気の滞りですが、血流や水分代謝の停滞を招き、冷えやむくみを悪化させることもあります1)。

現代的な生活が女性の「気滞」を加速させている?!

月経や出産といった女性特有のライフイベントは気・血・水のバランスに影響し、不調を感じやすくなる要因になります。

それに加え、長時間のデスクワーク・スマホ使用・慢性的なストレスや睡眠不足がつきものの生活はさらに気を滞らせます。睡眠の質の低下が自律神経機能の乱れや慢性疲労と関連することを示す研究結果もあり、現代の女性は「気滞」に陥りやすい傾向があるといえます2)。

東洋医学的セルフケアの第一歩は体質を知ること

東洋医学では、不調の出方からその人の体質を見極め、それぞれのタイプにあった治療を行います。代表的な不調のタイプをご紹介しますので、ご自身の症状に近いものを探してみてください。

気虚(ききょ)
=エネルギー不足

気滞(きたい)
=エネルギーの滞り

 瘀血(おけつ)
 =血流の停滞

水滞(すいたい)
=水分代謝の乱れ

体質改善に効果的な養生の3本柱

気・血・水のどれが不足しても、多すぎても不調は現れます。まずは、バランスのよい状態を目指していきましょう。そこで、生活習慣を整える「養生」の3つのポイントをお伝えします。

食事

冷えには温める食材(生姜、鶏肉)、むくみには利水食材(ハトムギ、小豆、とうもろこし胚芽)を取り入れましょう。消化を助けるために「よく噛む」ことも大切です。

運動

ウォーキングやヨガなどの軽運動は下肢筋ポンプを活性化してむくみを軽減することが報告されています3)4)5)。ただし、気虚の人は無理のない範囲で行うことがポイントです。

睡眠

深い睡眠は体の回復と自律神経調整の時間。中年女性における研究でも、睡眠の質低下が自律神経バランスの悪化に直結することが報告されています2)。

基本の3つが整ってきたら、続いてご自身の体質に合った養生に発展させましょう。タイプ別のおすすめ養生法は、以下の通りです。

 気虚(ききょ)
 =エネルギー不足  

食事ー山芋・鶏肉
運動ーこまめな休息を意識して運動は控えめに

気滞(きたい)
=エネルギーの滞
  

食事ー柑橘類・香味野菜
運動ー深呼吸やストレッチ

瘀血(おけつ)
=血流の停滞
    

食事ー玉ねぎ・黒きくらげ
運動ー軽い有酸素運動

水滞(すいたい)
=水分代謝の乱れ
   

食事ーハトムギ・小豆・海藻類
運動ー下肢を使う運動

今日からはじめられるツボ押し

ツボ押しは、自律神経や循環機能を改善する可能性が研究で示されています6)7)。気・血・水の巡りを促してくれる、代表的なツボをお伝えします。

三陰交(さんいんこう):内くるぶしの上4本分。手足の冷え・むくみ・月経不調に。

湧泉(ゆうせん):足裏の土踏まずやや前。疲労回復・足の冷えに。

合谷(ごうこく):手の甲の親指と人差し指の間。ストレス緩和・血流改善に。

足三里(あしさんり):膝の外側下から指4本分下。胃腸調整・疲労回復・免疫調整に。

押し方のコツ

5秒押して3秒休む×5~10回。強さは「痛気持ちいい」程度。お風呂上がりや就寝前に行うのが効果的です。

まとめ

冷え・むくみ・疲れやすさなどは、からだが発するSOSのメッセージです。その声に耳をかたむけ、食事・運動・睡眠・ツボ押しといったセルフケアで労ってあげてみてください。

もしお悩みがなかなか改善しない場合や、いつもと違う強い症状がある場合には、早めに婦人科を受診しましょう。健康の維持には、セルフケアと専門家による適切なアドバイスが欠かせません。福岡市中央区天神にある野崎ウイメンズクリニックさんでは、経験豊富な先生が丁寧に相談に乗ってくれます。ぜひ、気軽に足を運んでみてください!

引用・参考文献
1)Wang H,et al.Effects of walking on lower limb edema and fatigue in sedentary women.J Women’s Health.2020.
2)Tsai SY,et al.Sleep and autonomic nervous activity in middle-aged women.Int J Psychophysiol.2011.
3)Wittenkamp MC,et al.The effect of exercise in patients with lower limb lymphedema:a systematic review and meta-analysis.J Vasc Nurs.2025.
4)Sharifi M,et al.The randomized ATLANTIS trial:aquatic therapy vs Nordic walking in chronic venous disease.J Vasc Surg Venous Lymphat Disord.2021.
5)Goddard AA,et al.Reversal of lower limb edema by calf muscle pump stimulation.Am J Physiol Heart Circ Physiol.2008.
6)Iwa M,et al.Electroacupuncture at ST36 accelerates colonic motility via parasympathetic pathway in rats.Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol.2006.
7)Hu S,et al.Electroacupuncture at Zusanli (ST36) prevents intestinal barrier dysfunction.Evid Based Complement Alternat Med.2013.

< 前

この記事を書いた人

坂元 大海

坂元 大海

アークメディカルジャパン 代表取締役 理学療法士・鍼灸師・柔道整復師

整形外科での10年間の実務経験の後、アメリカ(UNLV)にてピラティスマスターライセンスを取得。治療実績は延べ10万人超。アークメディカルジャパン設立後は、鍼灸整骨院およびピラティススタジオの運営に加え、プロスポーツ選手や俳優といったアスリートのケア、講演や書籍の執筆を通じた後進の育成にも精力的に取り組んでいる。経営学修士(MBA)|近著『ツボ単(NTS)』『骨肉腱え問(NTS)』『ヤセル言葉(Lotus8)』

この記事のゲストとつながる

関連記事

【東洋医学編#3】“からだの変化”と向き合う−更年期をやさしくケアする東洋医学の視点−
2025/09/01 09:00
【東洋医学編#2】「なんとなく不調」にさようなら−“女性のゆらぎ”の正体−
2025/08/01 09:00
【東洋医学編】生理痛をやわらげるツボとセルフケア
2025/07/01 09:00

関連記事

2025/09/01 09:00

【東洋医学編#3】“からだの変化”と向き合う−更年期をやさしくケアする東洋医学の視点−

2025/08/01 09:00

【東洋医学編#2】「なんとなく不調」にさようなら−“女性のゆらぎ”の正体−

2025/07/01 09:00

【東洋医学編】生理痛をやわらげるツボとセルフケア

トップに戻る
HOMEボタン
電話
WEB問診
トップに戻る
地下鉄天神駅14版出口直結 産婦人科

当院は完全予約制です

ご予約・お問い合わせ先は下記の電話まで

電話番号

〒810-0001
福岡市中央区天神1-9-17 福岡天神フコク生命ビル6F

電話番号

〒810-0001 福岡市中央区天神1-9-17
福岡天神フコク生命ビル6F

 
 

©️ Nozaki Women's Clinic Allrights Reserved.

Designed by HARUNO design.