Column 88
2021/09/19 18:00
生理痛(月経痛)がひどくて、学校や仕事を休んだり、鎮痛薬を飲まないと生活に支障を来すという女性はかなり多くて、福岡市天神にある私のクリニックにも患者さんがたくさん来院されます。
初経からの月経痛に悩まされている場合は思春期外来を、月経が不順になり始めてから酷い月経痛が起こるようになった方も多く受診されます。
月経はどのようにして起こるのでしょうか。
月経とは:妊娠が成立しなかった時は、この厚くなった子宮内膜は剥がれ落ちて腟から血液と共に出て来ます。 これが月経です。
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2つの女性ホルモンのうち卵胞ホルモンの作用で子宮内膜は厚くなります。排卵のあとはもう1つの女性ホルモンである黄体ホルモンの働きで子宮内膜は厚く維持されますが、妊娠しなければ子宮内膜は剥がれて子宮の外へ排出されます。これが月経です。
それでは、月経痛はどうして起こるのでしょうか。
子宮内膜が剥がれるときにプロスタグランディンという物質が産生されます。このプロスタグランディンは子宮の筋肉や血管の筋肉を収縮させます。血管の筋肉が収縮すると血流が減少します。心臓の血管が収縮して血流が減少すると狭心症の胸痛が起こるのと同じで、子宮の血流が減少すると月経痛が起こります。
月経痛がひどい場合は「月経困難症」と診断されて、治療が必要になります。また、最近は月経困難症を起こす「子宮内膜症」も増えています。治療には、プロスタグランディンを抑える消炎鎮痛薬(NSAIDs)、子宮内膜を薄くするピル(OC、LEP)、子宮内膜症の治療薬などが効果的です。
月経痛は我慢するものではありません。将来の子宮内膜症や不妊症につながる大事なサインです。月経痛で悩んでいる女性は一日も早い婦人科受診をお勧めします。
「子宮内膜症」については、次回のコラムで詳しく解説します。
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