Column 77
2021/07/18 18:00
米国ワシントンDC で17年周期ゼミの大発生が話題になっています1)。
この周期ゼミという現象が確認できるのは、世界の中でも北アメリカのみであると言われています。その間の年にはその地方では全く発生しない、ほぼ毎年どこかでは発生しているものの、全米のどこでも周期ゼミが発生しない年もあり、周期年数が素数であることから素数ゼミとも呼ばれています。
私が留学のためオハイオ州シンシナティに到着したのは1987年の9月でしたが、その夏は17年ゼミの大群で街路樹の幹が埋め尽くされてすごい光景だったと友人が言っていました。
また、1989年の8月にはコネチカット州の森の中にあるドイツ人の友人宅に泊まりましたが、ここでもセミの大群が落とす「フン」の騒音で会話が聞き取れないほどでした。これは素数ゼミであったのかどうかは分かりません。
セミと言えば、「八日目の蟬」という角田光代さんの小説があり映画にもなりました。セミは全てが7日で死ぬのではなくて、産卵のためにオスがいなくなった8日目も残っているメスのセミが主人公に例えられています。ヒトは何故こどもを産み残そうとするのか、本当のこどもではなくても守りたいという母性とは何か、個の保存から種の保存へと本能に導かれているのか。
17年周期ゼミは17年毎に地上に現れて種の保存のためにわが子達を産むのです。
他の昆虫とはち合わせしないように17年という素数が立派な集団防衛機構を成立させているのでしょう。
2021年5月30日にワシントンDCで17年ゼミが大発生したというニュースは、私がオハイオ州シンシナティに留学してから、17年×2=34年が経過したという事実を知らせてくれるとともに、大自然の営みは破壊されていなかったという事実も示してくれました。
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