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Column 14

2018/12/07 18:00

女性アスリートとピル

昨年、東大病院に「女性アスリート外来」が誕生しました(2017年4月)。1)スポーツを行う女性なら健康そのものではないかと思われがちですが、実際には女性アスリートの健康問題は大変深刻なものです。昨年度は受診者の62%が、無月経や月経不順だったそうです。1)

競技には月経なんか来ない方がいいのではないか?と男性は考えがちですが、無月経の原因にはエストロゲン不足や栄養不足などの要因があり、疲労骨折や摂食障害になるなど、アスリートにとっては深刻な問題なのです。したがって、アスリートのエネルギー消費量や摂取量を栄養士が管理して、エネルギーバランスを改善することも重要です。

国立スポーツ科学センターの能瀬先生の調査によれば、女性トップアスリートの4人に1人が月経困難症で鎮痛剤などの薬物を使用しているが、婦人科受診率は10%しかないという現状でした。2)月経困難症で痛みを我慢しながらの競技では最高のパフォーマンスは出せませんよね。

同じ調査によれば、約90%のアスリートが月経周期とコンディションの変化を自覚しているそうで、コンディションの良い時期に合わせた月経移動が望まれます。2)月経移動にはピルが第一候補ですが、日本ではトップアスリートのピル使用率は未だ2%という低さです。2020東京までに間に合うでしょうか。

■引用・参考文献
1)「東大病院」http://www.h.u-tokyo.ac.jp/patient/depts/a_joseika02/athlete.html、2018年12月7日アクセス
2)「能瀬さやか」『女性アスリートの現状』公益財団法人日本産婦人科医会、2014年5月14日、http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2014/05/76_140514b.pdf、2018年12月7日アクセス

この記事を書いた人

野崎 雅裕
野崎 雅裕野崎ウイメンズクリニック 院長
福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。
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