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Column 146

2022/04/10 18:00

閉所恐怖症

更年期

院長コラム

 コラム143で高所恐怖症のお話をしました。この高所恐怖症よりもずっと頻度が高いのが閉所恐怖症です。

 病院で精密検査を受けるために訪れた患者さんが、CTやMRI装置のような狭い円筒(空間)に入っていく検査に恐怖を感じて、検査ができないことがよくあります。プロスポーツ選手でもこのような症状を訴える人達は必ず存在し、正確な診断や治療の妨げになることもあります1)。

福岡市天神にある私のクリニックにも、閉所恐怖症の患者さんが来られます。電車やバスにじっと乗っていると息が詰まりそうになる、エレベーターの中に入るのが怖い、MRI検査なんてとても出来そうにない、などです。とくに更年期症状のある患者さんには閉所恐怖症の割合が多いようです。

 更年期には女性ホルモンが減少していきますので、女性ホルモン不足の様々な症状が現れます。ほてりや発汗、めまいや倦怠感などが現れますが、無気力・落ち込みや不安・動悸なども多い症状です。不安は、ときには恐怖となり、さらには恐怖症になります。狭いエレベーターに「閉じ込められて」いると怖くてたまらないと感じるようになります。また、高所での不安も恐怖と感じることが増えてくることが多くなります。

 更年期女性には女性ホルモンを補うホルモン補充療法(HRT)を行うことにより、更年期症状や不安な症状が和らぎます。他には漢方療法や安定剤も有効ですが、一般的には閉所恐怖症に対して認知行動療法と系統的行動療法があります1)。また、閉所恐怖症の人で、MRI診断がどうしても必要な場合には、開放型MRIも開発されています。

 閉所恐怖症では「狭いところが苦手」になりますが、認知症になると、逆に「狭いところに入り込む」ことが多いようです。「閉鎖された空間・場所」というのは、「圧迫感」もありますが、逆に「包まれたり」「囲まれたり」する場所なのかもしれません。

引用

1)https://ja.wikipedia.org/wiki/閉所恐怖症

この記事を書いた人

野崎 雅裕
野崎 雅裕野崎ウイメンズクリニック 院長
福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。
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