ヘルスケアカフェ#1
− 続いては、お二人が年齢を重ねる上で大切にしていることを教えてください。
院長)
僕はね、毎日ジムに行ってるんですよ。寝っ転がってストレッチしてもらうとか、時間があったらバックランジっていうのをやっています。で、広々としたお風呂に入ります。あとは毎週ゴルフに行きますね。ゴルフって一度予定を組むと、いきなり『今日はごめんね』と断ることができないから、強制的に身体を動かす環境に自分を追い込むことになるわけです。
カヨ)
3か月前から予約するって言いますよね。
院長)
そう。でも行きたくないと思っても、行ったら行ったで楽しいんですよね。晴れていて気持ちがいいとか、何回かに1回、まっすぐ飛んでいって嬉しいな、とか。あと、僕はバランタインの30年(=ウイスキー)が大好きなんですけど、日常を頑張ったご褒美に、とっておきの1杯を愉しむとかね。
カヨ)
わかります ! そして格好いい生き方をしたいですよね。
院長)
一つか二つ、光るものがあればいいんじゃないですかね。のんべんだらりと、毎日同じことをしていてはいかんなと思います。
カヨ)
そうですねぇ。私がいろんな方を取材させてもらう中で、よく聞くのが『日本人はお金儲けは上手だけど、お金や時間の使い方が下手。何でそんなに一生懸命働き続けるの』って意見ですね。
私も、そんな日本人の一人でした。スケジュールが埋まってないと不安になるみたいな感じで、ずっと50歳まで仕事しかしてなかったんです。でも、やっぱり何か趣味を持たなきゃいけないなと思っていたら、たまたまハーレー(=バイク)に乗っている方々とお会いする機会がありまして。
『前の日に深酒もせんし、自然の中に行くから、ハーレーはいいよ』って言われたので、ちょっと挑戦してみたいなと思って、50歳を過ぎてから大型自動二輪の免許を取りました。
院長)
取ったんですか。ヘぇ〜 ! ! !
カヨ)
そうなんです。それで「風を感じる」とか言われてたけど、実際に乗ってみると、風だけじゃなく自然の中から感じる “匂い” が変わりました。今までは表面的にしか触れてこなかったのかなって思い直すぐらい。
− では、ここからは “年齢の捉え方” についてお聞きします。先生も研究をされていたアメリカでは、バージニア大学のブライアン・ノセク氏の研究成果として〈中高年の主観年齢が実年齢と比べてどれだけ若いかは、次に何をするかという、日常や人生に関わる重要な決定を左右するかもしれない〉※1 という話もありますが、お二人はいかがでしょうか。
カヨ)
『いくつに見える ? 』とか、みんなよく言うじゃないですか。まったくそこに興味がないです。『いくつでもいいやん ! 』っていうのがある。
院長)更年期もね、決めたがる人がいますよね。教科書的には50歳の閉経を挟んで前後5年って言うけど、年齢はあんまり考えない方がいい。
カヨ)
年齢というよりは『人生の先輩として、後輩やお店のスタッフたちにしてあげられることは何かな』と考えることはありますね。でも昔とはやっぱり教育の仕方が違うから、わかり合えない部分もある。
大学で講義することもあるんですけど『大人はみんな夢とか目標とか持てって言うけど、そんなん、なくても心配せんでいいよ』って言うようにしています。20歳ぐらいで夢持ってた人なんて、そうそうおらんけん !
院長)
僕も一緒ですよ。別にゆったり、じいさんになってもいいと思うし、あんまり何歳だからどうこうっていうのはないですね。自分が定年のない世界で生きているっていうのもあるでしょうけど。
− ところで「人生の黄金期は56歳から」という説があります。脳科学コメンテーターの黒川 伊保子さんという方が著書「成熟脳」で説いているのですが、「ヒトの脳は28年周期で大きく変わる」という研究成果をもとに「ちょうど更年期が終わる56歳から人生がもっと面白くなる」と述べられています。
カヨ)
もうまさしく、56歳ぐらいから60歳に向けての5年間は変革期にしていこうと思っていました。名前の表記を漢字からカタカナに変えたり、会社名もちょっと変えたりとか。60歳を過ぎてから、あんまりちまちま考えんでもいいように準備しようと思って。
わかりやすく言うと、今まではスケジュールが埋まっていないと心配になっていたのに『スケジュールが何もない…今日空いとぉ ? だったら遊び行く ? 』って、瞬発力による偶然の出会いとかも大切にできる生き方がしたいなって思うようになりました。いわゆる「断捨離」的なのを始めたのも同じ時期でしたね。髪を短く切ったりとかして。
院長)
「断捨離」いいですね。
カヨ)
自分の中でぴちっと計画を立てるのをやめました。そしたらストレスがなくなったのか、ただ感覚的に動いているだけなんだけど、周りが勝手に『彼氏できた ? 』とか『キレイになったね』とか言うから、楽しそうに見えるんでしょうね。別に『今日からやります』とか言って始めたわけではないんだけど、60歳は一応節目として捉えていますね。ちなみに私、120歳まで生きたいなって思ってるんです !
院長)
いいですね、ちょうど今が半分ですね。
カヨ)
で、55歳の誕生日の時に『折り返し地点まで、まだあと5年もある…なが !』って思ったんですよ。そして59歳になった時に『なんか私、本当に60歳の折り返し地点でもっと楽しく過ごせそう。いい感じに老後に入っていけるんじゃないかな』みたいに楽しくなってきたんですよ。
体力的なものは多分衰えてるので、アクティブには動けないんだけど。でも若い時にはなかったお金や時間があるっていうところで言うと、楽しみしかないなと思ったりしてます。
院長)
脳は元気だからね。さっき紹介があった本には、そのことが書いてあるんです。脳っていうのは7歳ずつ発達していくらしくて。 “7×8=56” でしょ。そのぐらいになると、脳はお利口だから『これ、ちょっとやばいな』と思って避けたりすることができるようになる。若い時はもう何もかもに突っ込んでいくから大怪我もするし、悲しい思いもするし、いろんなことするけど、年取ってくると『ちょっとこの人、そりが合わなそう』とか、わかるんですね。経験の積み重ねで成長していく。
カヨ)
わざわざイラっとする関係は避けられるようになりますよね。ストレスがかかる状態にならなくてもいい方法がわかってくる。若い時には『よかれと思ってこっちは動いてやりよるのに、何でそんなこと言われないかんの ? 』みたいなことがいっぱいあるけど、だんだんそれの回数が少なくなっていくってことですよね。
院長)
そういうことです。脳がお利口になっていくんですよ。
− そうなんですね…実感の溢れる回答ありがとうございます ! 最後に、カヨさんが代表をされている「バーター☆ビレッジ」のPRをお願いします。
カヨ)
はい !「バーター」って「物々交換」という意味なんですが、私が直接出会って、一緒に何かしたいと感じた人たち同士を「持ちつもたれつ」の関係でつなぐものです。テレビ局みたいにスポンサーを募って活動しています。まだYouTuberって言葉もないぐらいのネット黎明期に、ニコ生で公式チャンネルを立ち上げたのがきっかけで始まりました。
ベースにあるのは、障害者と健常者との交流イベントです。というのも、私自身が障害者の方と出会ったのが大人になってからで、何にも知らなかったんです。で、情報発信の仕事をずっとしてきたから、そこの責任はちゃんと持ち続けたいなって、彼らの活動を世間に広める動きをしています。
あとは、今のこの時代、バーチャルとリアルのバランスが大事かなと思ってるんですが、若い子達はちょっとバーチャルに汚染されている。バーで働きよる子とかには「リアルの繋がりが大事だよ」ってアドバイスしてますね。
反対に、年寄りはバーチャルがわかっていないから、会社で『広報にTikTokなんかやらせてなんになるとや』って言う人がいると聞いたら、その人のところに連れてってもらいます。『若い子達の情熱に蓋を閉めたらいかんですよ。費用対効果なんてないけど、動画をつくるには会社のことをよく知る必要があるから、そのうちに愛社精神が生まれたら嬉しくないですか ? そしたら簡単には辞めないですよ』とか言って。それが私の役割かなと思っています。
ちなみに、さっき話した通り、将来の目標はないです ! 流れに流され、そういう出会いの中で『ああ、これがあったら面白いかな』っていうのを基準にやっていくのが私の信条なので。偶然の出会いを楽しみに、やり続けていきたいです。
引用)※1:2018年 / BBC NEWS JAPAN デイビッド・ロブソンの記事より抜粋
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華麗なる加齢
文責 : かしわぎ みなこ
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