2023/01/06 18:17
子宮内膜症は、子宮内膜またはそれに似た組織が何らかの原因で、本来あるべき子宮の内側以外の場所で発生して発育する疾患です。20〜30代の女性で発症することが多く、そのピークは30〜34歳にあるといわれています。
子宮内膜症は女性ホルモン(エストロゲン)の影響で月経周期に合わせて増殖し、月経血が排出されずにプールされたり、周囲の組織と癒着を起こして様々な痛みをもたらしたりします。また、不妊症の原因にもなります。
子宮内膜症ができやすい場所として、卵巣、ダグラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)、仙骨子宮靭帯(子宮を後ろから支える靭帯)、卵管や膀胱子宮窩(子宮と膀胱の間のくぼみ)、などがあります、稀に肺や腸にもできることがあります。
症状の代表的なものは「痛み」と「不妊」です。月経痛は子宮内膜症の患者さんの約90%にみられます。これを月経困難症といいます。月経痛以外にも腰痛、下腹痛、排便痛、性交痛などがみられます。このような症状は20〜30歳代の女性に多く発症し、加齢によるエストロゲンの減少とともにおさまります。
また、妊娠を希望する生殖年齢の女性では「不妊」が問題となります。妊娠を希望する子宮内膜症患者さんの約30%に不妊があると考えられています。
治療ですが、まず痛みに関しては鎮痛剤を使用します。効果がみられない時は、低用量ピルや黄体ホルモン製剤、GnRHアゴニスト製剤を使用して、エストロゲン分泌を抑えたり子宮内膜症の病巣に作用させたりして症状を緩和させます。
卵巣にできる子宮内膜症性のう胞(チョコレートのう胞)などの病巣がはっきりしている場合は手術が行われます。妊娠を希望している場合は病巣のみを摘出して子宮・卵巣を残し、妊娠を希望しない場合には子宮・卵巣を摘出することもあります。
子宮内膜症は再発する頻度が高いことやチョコレートのう胞は稀に癌化することもありますので長期にわたる経過観察が必要です。
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