Column 331
2025/11/18 18:00

加齢とともに筋力は衰えていきますが、筋力だけでなく「すばやく動く能力」も低下します1)。この「すばやく動く能力」は「パワー(仕事率)」と呼ばれ、筋肉がどれだけの力をどれだけ早く生み出せるかを表しています。
「パワー」はオリンピックの重量挙げ選手などのトップアスリートだけに関わるものではありません。すばやい動きは、つまずいても転ばずに姿勢を保ったり、閉まりかけた電車のドアにぶつからないよう避けたり、スーパーで買ったものをテキパキと車に積み込んだりするときに役立ちます。
筋力は通常、50歳を過ぎると年間1~2%の割合で低下します。それに対し、パワーの衰えは30代から始まります。定期的な運動習慣がない高齢者の場合には年間3~4%の割合で低下するとの研究結果もあります。
2007年に学術誌「Journal of Aging and Physical Activity」に掲載された論文では、高齢者の日常的な動作の改善には従来の筋力トレーニングよりも、パワーを鍛えるトレーニングの方が効果的であることが示されました。パワーを鍛えるトレーニングには、スプリント・インターバル・トレーニング(SIT)があります。
SITでは、短時間(15秒から1分程度)の全力またはそれに近い走りと、休息またはアクティブ・リカバリー(軽い運動による回復か積極的休息)を交互に繰り返します。負荷が大きいため、誰にでも適しているわけではありませんが、身体的な制限やケガのない人がパワーを鍛えるには抜群の効果が期待できます。
からだに『なんてこった!今、何をしたんだ?また同じことをする場合に備えて適応しておかなければ』と思わせるのがSITです。全力を出させることで、適応を強力に促すのです。
そなえあれば憂いなし、パワーが上がれば転倒なし、というところでしょうか。
引用・参考文献
1)https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/25/072800418/

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