Column 277
2024/08/20 18:00
武道の「武」の字は、「戈(ほこ)」と「止」の合字です。「止」は歩む意で、足首全体の象形です。そこから、「武」は「戈を背負って、一歩前へ進む」という意味になります1)。「戈を背負って前へ」というのは、戦う覚悟を決めるさまを表しています。
これにちなんで、詩人の吉野 弘さんの「止」戯歌(ざれうた)をご紹介します2)。
「歩」は「止」と「少」から出来ています。
歩く動作の中に
「止まる」動作が
ほんの「少し」含まれています。
「正」は「一」と「止」から出来ています。
信念の独走を「一度、思い止(とど)まる」のが
「正」ということでしょうか。
正さを振りかざす御仁ほど
自分を顧みようとする資質を欠いているようです。
正義漢がふえると、揉め事もふえるのは
そのためです。
「歳」の中にも「止」があります。
より多く年齢を収穫するのが
歳の自然な成り行きかと思っていましたが
歳は人それぞれの宿命に応じて
その歩みを止めるのです。
この吉野 弘さんの詩にならって一つ。「歪」は「不」と「一」と「止」からできています。考えることもなく進んでいく時、一度、止まって、振り返ってみれば、いつの間にか歪(ゆが)んでいくことに気がつくかも知れませんね。
引用・参考文献
1)https://www.kyudo.jp/notice/page/27 2020.06.02 自宅待機されている弓友へ贈る弓道コラム5
2)http://blog.livedoor.jp/kato2008/archives/2002128.html
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