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Column 72

2021/02/15 18:00

脳腸相関

強いストレスや不安があるとおなかの調子が悪くなることがあります。脳には全身のバランスを調節する自律神経の中枢がありますから、脳がストレスを感じると腸の自律神経にもその緊張が伝わり腸の蠕動運動にも影響が現れることになります。

ところが最近の研究では、逆方向となる“腸から脳へ”向かう信号による現象として、「腸」で生じた様々な生理的・病理的変化が「脳」へと伝えられて、脳内の情報処理機能に影響を与えていることも明らかになってきました。1)

これを脳の機能と腸内フローラ(腸内細菌叢)の「脳腸相関」と言います。

このように、脳と腸は相互に情報伝達・情報交換を行っていて、互いに作用を及ぼしあう関係にあるのが分かってきました。つまり、脳と腸はホルモンやサイトカイン(情報を持ったタンパク質)などの液性因子を利用したり、自律神経系のネットワークを介する作用によって、互いに影響し合う関係にあります。1)

脳が腸内細菌からの情報によって影響を受けているということは、おなかの調子が良いと脳が受けるストレスも軽くなることになります。ミクロサイズの腸内細菌が、人間の最高司令室である脳へ信号を送って、脳を支配しているのです。「腸活」することは「脳活」になるのです。

■引用・参考文献
1)https://www.yakult.co.jp/healthist/242/img/pdf/p02_07.pdf

この記事を書いた人

野崎 雅裕
野崎 雅裕野崎ウイメンズクリニック 院長
福岡市天神の産婦人科、野崎ウイメンズクリニックの院長。女性医学の専門医として、九州大学病院などにおいて、思春期から更年期女性のホルモン療法や不妊治療、漢方療法、月経痛や女性のこころとからだの悩みに関する医療に長年従事。ホルモン療法やピルの使い方、月経痛の対処法や月経移動の説明にも精通した熟練スタッフとともに、すべての患者様へあたたかいケアを行っている。
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